消費科学研究所
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繊維製品の表面変化を調べるにも、電子顕微鏡による拡大観察が有効です。
衣料・繊維製品
2016年1月21日
1. マイクロレベルまで観察できる走査電子顕微鏡(SEM)
肉眼では見えないものを観察するために、拡大鏡や光学顕微鏡が用いられますが、さらに細かくマイクロレベルの構造を精細に観察するには走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)が有効です。光よりも波長の短い電子線を利用することで、光学顕微鏡では難しい高倍率の拡大観察ができます。
■走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)
2. 立体的で鮮明な画像により、異状箇所の形状変化や違いが一目瞭然に
SEMは光学顕微鏡に比べて焦点深度が深いため、凹凸のある試料でも焦点を合わせやすく、観察箇所を明確かつ精細に視覚化することができます。
繊維製品で異状が見つかった場合、その生地、糸、繊維などの表面状態がどのように変化しているかを鮮明に観察することができます。
■SEMによる写真例
・虫害を受けた毛繊維
・衣類害虫の一種であるヒメカツオブシムシの頭部
・繊維上のカビ(胞子)
■事例
洗濯で白くなったテンセル素材のパンツ
新品を洗濯したら表面が筋状に白くなった。
観察結果
白く見える部分は、繊維が細かく裂けており、摩擦の影響を受けていることがわかる。
ハリのある生地の場合、シワの折り山など凸部が擦れやすい。
繊維が細かく裂けた部分は、光が散乱して白っぽく見えているもので、染料の脱色ではない。
3. 異状原因を視覚化することで、問題解決をスムーズに
繊維製品に異状があった場合、SEMを用いて繊維表面の状態を鮮明に視覚化することにより、事故原因の特定につながります。また、SEMの画像は精細でわかりやすいため説得力があり、異状原因について解説を行う際の非常に有効な手段の一つとなります。
今回ご紹介した走査電子顕微鏡(SEM)をはじめ、さまざまな試験を適宜併用して、繊維製品の異状の原因究明を行っています。ぜひお気軽にご相談ください。
■この試験を用いて行う主な繊維製品の異状
・衣類損傷(穴あき、破れ、変形)、汚染原因の究明
試薬による定性試験や分析機器を用いて総合的に原因を究明します。試験品の状態により、実施試験項目や料金は変動します。詳しくはお問い合わせください。