消費科学研究所
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今年、「まほうびん」のJIS規格が改正されました

リビング雑貨

2016年3月18日

1.ガラス製、ステンレス鋼製ともに、JIS S 2006 に統合されました

消費者ニーズの多様化、エコ意識の高まりなどにより、近年、まほうびんの種類が増え、使用方法も変化してきました。これを受けて、2016年1月20日、まほうびんのJIS規格(日本工業規格)が改正され、従来は別々に運用されていたJIS S 2006(まほうびん)とJIS S 2053(ステンレス鋼製まほうびん)が統合されました。製造販売される「まほうびん」は、ガラス製、ステンレス鋼製のいずれも、この改正JIS規格(JIS S 2006)に準じた試験が適用されます。今回は、この改正のポイントについてご紹介します。
 

2.保温効力が、携帯用は6時間、卓上用は10時間に

ステンレス鋼まほうびんについて、携帯用まほうびん直飲式、卓上用まほうびん一般式、卓上用まほうびん空気圧利用式の保温効力基準値が追加されました。保温効力の試験時間は、改正前の24時間から、改正後は携帯用まほうびん(直飲式の保冷専用を除く)が6時間に、卓上式まほうびんが10時間になりました。
 
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■保温効力の試験方法

①室温が20℃の室内でまほうびんに沸騰したお湯を入れ、放置する。
②携帯用まほうびんは6時間、卓上用まほうびんは10時間放置した後、まほうびん内の湯の温度を測定する。
③測定温度が基準値以上(表1・表2)であることを確認する。  

■表1:ガラス製まほうびんの保温効力

容量 (?) 保温効力(℃)
10時間
内口径40㎜ 内口径45㎜
0.75 64以上
1.0 66以上 65以上
1.3 70以上 69以上
1.6 72以上 71以上
1.9 73以上
2.2 74以上
2.5 75以上 
3.0
(JIS S 2006:2016 表6)

■表2:ステンレス鋼製まほうびんの保温効力(直飲式の保冷専用を除く)

容量 (?) 保温効力(℃)
携帯用まほうびん 卓上用まほうびん
6時間 10時間
一般式 直飲式 一般式 空気圧
利用式
内筒の内口径
39㎜未満 39㎜以上
54㎜未満
54㎜以上
0.3未満 62以上 47以上
0.3以上 0.4未満 66以上 64以上 53以上
0.4以上 0.6未満 70以上 68以上 66以上 58以上
0.6以上 0.9未満 74以上 72以上 70以上 62以上 57以上
0.9以上 1.2未満 77以上 75以上 73以上 66以上 61以上
1.2以上 1.5未満 80以上 78以上 76以上 65以上 61以上
1.5以上 1.8未満 82以上 80以上 78以上 68以上 64以上
1.8以上 2.3未満 81以上 79以上 70以上 66以上
2.3以上 80以上 71以上 67以上
(JIS S 2006:2016 表8)

 

3.保冷専用直飲ボトルは、保冷効力の基準が新設されました

最近主流の直飲ボトル(携帯用まほうびん直飲式)については、前項の通り保温効力が追加されたとともに、新たに保冷専用商品の保冷効力の試験が設定されています。
 
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■保冷効力の試験方法

①室温が20℃の室内でまほうびんに4℃の冷水を入れ、放置する。
②6時間放置した後、ボトル内の水の温度を測定する。
③測定温度が基準値以上(表3)であることを確認する。

■表3:携帯用まほうびん直飲式(保冷専用に限る)の保冷効力

容量 (?) 保冷効力(℃)
6時間
0.3未満 13以下
0.3以上 0.4未満
0.4以上 0.6未満 11以下
0.6以上 0.9未満 10以下
0.9以上 1.2未満 9以下
1.2以上 1.5未満
1.5以上 1.8未満
1.8以上 2.3未満
2.3以上
(JIS S 2006:2016 表9)

 
なお、まほうびんは「家庭用品品質表示法」の対象品目でもありますが、今回の改正JISとは今のところ連動していません。同法における保温効力表示は、現時点(2016年3月18日現在)では、従来どおりの「6時間または10時間、24時間」です。ご注意ください。
 
今回ご紹介したJIS規格に必要な試験をはじめ、まほうびんの品質・性能に関わるさまざまな試験・検査を行っています。ぜひお気軽にご相談ください。

■ステンレス鋼製まほうびんの試験項目の例

商品名 試験項目
ステンレス鋼製
まほうびん
容量測定
保温効力
保冷効力
耐衝撃性
栓の臭気及び内容湯の味
取っ手及びつり手の取付強度
下げひもの強度
袋及び下げひもの染色堅牢度
湯漏れ
材質確認(合成樹脂の場合)
材質確認(金属の場合)