消費科学研究所
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繊維製品の“品質表示”、変更はお済みですか?

衣料・繊維製品

2017年8月7日

ライフスタイルの多様化や商品流通のグローバル化などを背景に、2017年4月1日に「家庭用品品質表示法」が改正施行され、繊維製品の表示方法が一部変更されました。
1年の経過措置期間*を経て、2018年4月1日より完全移行されます。
* 経過措置期間中は、従来の表示が可能、その後も変更せず販売は継続できますが、早めの変更をおすすめします。
 

1.表示事項や表示内容が見直されました

[帽子]指定品目に追加。繊維の種類と洗濯表示(取扱い表示)の記載を義務付け

全国的に取扱方法や洗濯トラブルなどが多く、未然に防ぐために追加されました。
(経過措置期間はなく、2018年4月1日からの施行)
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[ズボン]ズボンの裏生地も表示対象に

消費者が商品の性能や取扱方法、保管方法を判断する際に、表生地だけでなく、裏生地も表示の必要があるとして追加されました。
※裏生地については、他の繊維製品と同様に混用率を省略し繊維名を列記する「列記表示」を行ってもよい(表示例2)。
 
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[マフラー等]洗濯表示(取扱い表示)を表示事項に追加

マフラー、スカーフ及びショール等は、素材の多様化により手洗い可能な製品も多く、消費者から洗濯に関する相談が寄せられているため、表示が必要になりました。
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[毛布]毛布のたて糸も表示を義務付け

改正前は表面部分(毛羽部分)のみの表示でよいとされていましたが、毛布のたて糸の素材により価格や取扱方法が異なるため、表示事項へ追加されました。
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2.より合理的な方法で表示を行えるよう変更されました

[人工皮革]人工皮革と合成皮革とを区別せず、「合成皮革」の表示が可能

合成皮革製の手袋および衣料の「材料の種類」の「人工皮革」と「合成皮革」は判別が難しく、また、それぞれで取扱上の注意が大きく変わるわけではないことから判別が不能な商品の人工皮革は「合成皮革」と表示できるようになりました。
 
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3.繊維の名称を示す指定用語が整理されました

①「指定外繊維」の用語は廃止されます。指定外繊維とは「家庭用品品質表示法によって指定されていない用語(指定用語以外の用語)」のことです。
今後指定用語にない繊維は、以下の分類名等を用いて表示します。
・分類名:植物繊維、動物繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維、無機繊維
*上記以外は「分類外繊維(○○)」と表示します。○○は「繊維名」または「商標」が入ります。○○が不明な場合は、省略することができます。
 
・表示例: 植物繊維(ヘンプ)、再生繊維(リヨセル)、分類外繊維(紙) など
 
②指定用語として「亜麻」、「リネン」、「苧麻」、「ラミー」、および「複合繊維」が新しく追加されました。また、プロミックス、ポリクラールが指定用語から廃止されました。
・表示例: 複合繊維(○○) ○○には指定用語または繊維名、商標名などが入ります。不明な場合は、省略することもできます。
 
③指定用語のない「毛」は、「毛」の用語にその繊維名または商標名を括弧書きで付記することができます。
・表示例: 毛(ビキューナ)
 
※さらに詳しい情報は、消費者庁ホームページをご参照ください
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/fiber/fiber_term.html
 
施行から約4カ月が経ち、新しい表示への猶予期限が近づきつつある中で、企業からの問い合わせが増えています。当研究所では適正な表示にスムーズに移行できるよう、さまざまなサポートを実施しています。お気軽にお問い合わせください。
 
参考資料/消費者庁ウェブサイト