消費科学研究所
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洗っている最中の髪のすべりの違いを調べる -毛髪表面特性試験<応用編>-
ヘアケア・化粧品
2018年1月29日
2017年3月号ブログで紹介した毛髪表面特性試験に関して、今回はそれを応用した試験を紹介します。(2017年3月号ブログはこちら)
通常のご依頼では乾燥状態の髪の状態を試験することが一般的ですが、洗っている最中の髪のすべりの違いを測定することも可能です。毛髪は乾燥状態よりも濡れた状態の方がダメージを受けやすいと言われているため、このような条件でデータを取ることは製品評価に有効と考えられます。
1.試験方法
測定時に毛髪サンプルが滑らないよう固定したのち、希釈したシャンプー溶液に浸漬する前後の摩擦係数の平均値(MIU)※を測定します。
※摩擦係数の平均値(MIU):すべりやすさを表します。この値が低いとすべりやすく、高いとすべりにくくなります。
<試験条件>
●試験品:3種類のシャンプー(A、B、C)を用い、水で希釈して1%濃度に調製
●測定条件:2条件(毛元から毛先方向、毛先から毛元方向)
●使用センサー:シリコンセンサー
●毛髪サンプル:2cmの幅に毛髪200本を並べてシート状にしたもの
毛髪サンプル(浸漬前) |
毛髪サンプル(浸漬中) |
※通常、当研究所では毛髪を1mm間隔に並べた毛髪サンプルを摩擦係数の測定に用いますが、今回は2cmの幅に200本の髪の毛を並べたものを用いています。
2.試験結果
今回の測定では以下の結果が得られました。
■毛元から毛先方向(MIU)
■毛先から毛元方向(MIU)
3種類のシャンプー(A、B、C)では毛元から毛先方向、毛先から毛元方向共に、Bのシャンプーがもっとも摩擦係数が小さくなることがわかりました。また、毛先から毛元方向に関しては、A、Cのシャンプーの摩擦係数はほぼ同じでしたが、Bのシャンプーではその約半分くらいとかなり小さくなっていました。
実際は洗髪中の製品の濃度や毛髪の太さなど様々な要因が関係するため、この測定方法のみで評価ができるわけではありませんが、評価のひとつとしてご利用ください。
今回の試験にご興味をもたれた開発、企画ご担当者さま、気軽にご相談ください。
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