消費科学研究所
BLOG

タオル製品に必要な吸水性試験

機能性評価

2020年2月5日

国産の高品質なタオルとして知名度の高い「今治タオル」ですが、「今治タオルブランド認定商品」を名乗り、そのブランドマークとロゴを使用するには、厳しい品質基準をクリアする必要があります。今治タオルが『質の良いタオル』を追求し、厳しく定めている基準には、吸水性、脱毛率、パイル保持性があります。その中でも今回は、吸水性の試験についてご紹介します。

 

1.吸水性の試験には「滴下法」「バイレック法」「沈降法」があります。

■滴下法
水滴を滴下し、水滴の鏡面反射がなくなるまでの時間を測定します。
鏡面反射の消える時点の判断が難しい場合があり、水滴を落とす場所により、ばらつきがあります。

■バイレック法
試験片の下端を水に浸漬し、10分間で毛細管現象により水が上昇した高さを測定します。吸水上昇長の境がわかりにくい場合があります。

■沈降法
10㎜×10㎜の試料を水に浮かべ、湿潤して沈降し始めるまでの時間を測定します。
試料の比重に左右される場合があります。

 

2.今治タオルの認定基準では、「吸水性・沈降法」が重視されています。

「吸水性」は、JIS L 1907 繊維製品の吸水性試験方法に規定されています。
今治タオルブランドの「吸水性」の合格基準は、
①「沈降法」で5秒以内(「未洗濯」と「3回洗濯後」の2回の検査に両方とも合格)。
②「沈降法」による検査が不合格であっても、「滴下法」による検査が1秒以内の場合は、合格とすることができる、と定められています。

 

3.当研究所では、独自の「バスケット法(大丸法)」をおすすめしています。

■バスケット法(大丸法)
試料を試験カゴの中に入れて水に浮かべ、試験カゴが完全に水面下に沈むまでの時間を測定します。

<試験方法> DS T 0001 3-21 吸水性
①軽くロール状に巻いた試料を試験カゴの中に入れて水に浮かべます。
②試験カゴが完全に水面下に沈むまでの時間を測定します。

画像

●判定基準:1分以内(1分を超える試料については、洗濯後、再び吸水性を測定します。)

 

4.タオルの吸水性評価に、バスケット法をおすすめする理由

当研究所ではタオルの吸水性評価のために、どの試験方法が最適なのか、実際に使用する上で必要な吸水性の基準を設定するために検討を重ねた結果、「バスケット法」がタオルの吸水性評価には最適であると考えています。日本タオル検査協会の主な試験鑑定項目にも、「バスケット法 大丸法」は記載されています。

滴下法とバイレック法は、結果の数値が良くても、抱水性(水を抱え込む力)も良いとは限りません。
沈降法とバスケット法は、繊維自体が吸水した数値なので、抱水性の目安にもなります。さらに、沈降法は試料の比重に左右される場合がありますが、バスケット法は試料が大きいので平均的に数値が出るため、より実用に適しています。
JISの試験方法では評価が難しかった製品、タオル、吸水タオル、ふきん、ヘアキャップ、傘袋、洗車用拭き取りクロスなどの吸水性の評価に、バスケット法をおすすめします。お気軽に、お問い合わせください。

 

■タオル関連の試験
・パイル保持性
・脱毛率
・引張強さ
・破裂強さ
・滑脱抵抗力
・有害物質(ホルムアルデヒド)