消費科学研究所
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合成樹脂加工品の試験 -2- 安全性
リビング雑貨
2021年8月3日
合成樹脂加工品の2回目は「安全性」の確認試験を紹介します。
食品衛生法の器具及び容器包装の規格では、食品に直接触れるプラスチック製の器具や容器、包装の化学的な安全性が規制されており、使用中に剥離したり食品へ溶出する等して、人体に摂取する可能性のある有害物質を対象として基準が設定されています。
規格は「一般規格」と、プラスチックの種類に応じた「個別規格」があり、両方の基準を満たす必要があります。また、試験は「材質試験」と「溶出試験」に分かれます。「材質試験」ではプラスチックの有害物質の含有量を確認し、「溶出試験」ではプラスチックから食品擬似溶媒への各種成分の溶出量を確認します。
試験方法
■材質試験(カドミウム・鉛)
食品に直接触れる部分を採取して酸で分解した後、蒸発乾固し硝酸に溶解させたものを試験溶液とします。この試験溶液について、ICP発光分光分析法によりカドミウム及び鉛を定量します。
■溶出試験(重金属)
食品に直接触れる部分の表面積1平方センチメートルにつき4%酢酸2mLを用いて規定の溶出条件で静置し、試験溶液を調整します。別に鉛1ppmを含む比較溶液を作り、試験溶液と比較溶液のそれぞれに硫化ナトリウムを加えて金属硫化物を沈殿させ、その色の濃さを目視で比較します。
■溶出試験(過マンガン酸カリウム消費量)
食品に直接触れる部分の表面積1平方センチメートルにつき水2mLを用いて規定の溶出条件で静置し、試験溶液を調整します。その後、酸化還元滴定により過マンガン酸カリウム消費量を測定します。
■溶出試験(蒸発残留物)
食品に直接触れる部分の表面積1平方センチメートルにつき食品擬似溶媒(ヘプタン、20%エタノール、水、4%酢酸)2mLを用いて規定の溶出条件で静置し、試験溶液を調整します。次に、蒸発皿に試験溶液を採り、溶液を蒸発乾固させて蒸発皿に残ったものの重さを測定します。
評価方法・基準
各試験によって得られた結果を表1に照らし合わせ、規格を満たしているかを確認します。
表1 プラスチック製器具・容器包装の材質別規格(乳等省令を除く)
※画像をクリックしていただくと拡大できます。
関連規格:食品衛生法 食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示370号)
用途
プラスチック製食器や器具の安全性の確認