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細菌が増える季節にご注意! シリーズ① ~増殖の仕組み~
食品
2023年6月23日
こんにちは!
食品部門に所属している検査員です。
6月に入って、梅雨も始まり、温度と湿度がグンと上がるこの季節、細菌にとっては、とても過ごしやすく、増殖しやすい絶好の季節です。
細菌が増殖した食品は、腐敗の原因となる他、食中毒を引き起こす危険性があり、私たち人間に悪影響を及ぼす危険性が高まります。
何といっても、この季節は“食中毒”に気をつけたいですね!
そこで今回は、細菌の増殖「シリーズ①~増殖の仕組み~」についてご紹介します!
細菌の増殖条件とは
{ ( 栄養 + 水分 ) + 温度 } × 時間
こちらの計算式で細菌は増殖します。
細菌は、温度10℃〜60℃の間で増殖しますが、特に20℃〜50℃が危険⚠な温度帯です。
もともと食品中には、「栄養」も「水分」もたくさん含まれています。
ここに「温度」が加わり、さらに「時間」が掛け合わさると、細菌はどんどん増殖していきます。
食品中の「栄養」と「水分」は取り除くことはできませんので、「温度」と「時間」を管理することが、細菌の増殖を抑えるためにはとても重要です。
細菌の増殖変化の実験
「温度」と「時間」の管理が重要!ということを、保存温度の違いで、細菌の増殖にどのくらいの差が見られるのかを、生肉を使って細菌検査を実施して、調べてみました。
今回の結果は、下記の通りとなりました。
保存条件(温度) | 細菌数(個/1g中) |
---|---|
初回(保存前の状態) | 48,000 |
初回から24時間、10℃で保存後 | 1,000,000 |
初回から24時間、25℃で保存後 | 10,000,000 以上 |
10℃と25℃の結果を比較すると、同じ時間で保存温度だけを変えると、細菌数に1桁以上の差が見られました。
この結果から、同じ時間保存する場合でも、より低い温度で保存すると、細菌の増殖を抑えられることが分かります。
もし、保存温度が25℃よりも高ければ、細菌はもっと増殖する可能性がありますよね。
このことからもわかるように、細菌の増殖を抑えるためには、「温度」を管理することがとても重要です。
また、細菌は“対数増殖(1個→2個→4個・・・)”を行って増殖していきます。
ある一定時間の間隔で分裂し、1個の細菌が2倍、4倍、8倍・・・・・・と増殖していきます。
よって、細菌の増殖を抑えるためには、「温度」だけでなく、「時間」を管理することも、とても重要なんです。
細菌増殖の仕組みについて、ご理解いただけたでしょうか?
細菌の増殖を防ぐことで食中毒を予防し、暑い季節を元気に乗り切りたいですね!
次回は、細菌の増殖「シリーズ②~増殖を抑えるには!~」をご紹介します。
消費科学研究所では、食品の細菌数を調べる細菌検査や各種食中毒菌の検査も実施しています。
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