消費科学研究所
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リジェネラティブ、リジェネレーション
衣料・繊維製品
2025年4月10日
みなさん、リジェネラティブ/リジェネレーションという言葉を聞いたことがありますか?
サステナビリティの先を行く概念として注目を集めています。
サステナビリティは、環境や社会・経済などが将来にわたって、現在の価値を失うことなく続くことを目指す考え方です。一方、リジェネラティブ/リジェネレーションは、「再生」「繰り返し生み出す」を意味します。
<サステナビリティだけでは限界がある!?>
地球上の持続可能性は、想像以上に脅威に侵されているとの指摘があります。これまでの人類の経済活動などは、資源の枯渇や地球温暖化、気候変動を引き起こし、すでに地球に与える負の影響は限界に達しているというのです。そのような状況でサスティナブルな行動だけでは不十分であり、新たに「再生」しながら繁栄していくというリジェネラティブ/リジェネレーションという概念が必要になってくるそうです。
<リジェネラティブコットンとは?>
リジェネラティブ/リジェネレーションを取り入れた例として、リジェネラティブコットンを紹介します。
環境に優しいコットンとして「オーガニックコットン」は聞いたことがあると思いますが、「リジェネラティブコットン」は何が違うのでしょうか?
通常のコットンは、雑草駆除のための除草剤や害虫駆除のための殺虫剤、収穫性向上のための枯葉剤といった多くの農薬を使用し栽培されています。生産性や効率化を優先することと引き換えに、環境や農家の方に多大な悪影響を与えています。
オーガニック(=有機的)コットンは、簡単に説明しますと3年以上農薬や化学肥料を使わないで栽培された農地で育てられ、また遺伝子組み換えを使用しないコットンのことで、これだけでも従来のコットンと比較すると、土壌や水質の汚染を減らし、農家の労働環境も安全なものにします。しかし、これだけでは土壌の再生や生物多様性の増加に働きかけるには十分ではありません。
リジェネラティブコットンは、以下のような方法を用いて栽培したコットンです。
- コットンの栽培期以外はクローバーやマメ科植物などを植え(カバークロップ/被覆作物)、土壌を覆い続けることで、土壌浸食を防ぎ、土壌の保水性を高め、土壌に有機物を加える。
- 毎年同じ畑に同じ作物を植えるのではなく、輪作をすることで土壌の生物多様性を保全し、養分の利用効率を高め、土壌病害を減少させる。
- 農地を耕さないで作物を栽培(不耕起栽培)することで、土のなかに有機物が残りやすくし、保水性・透過性・通気性を改善させる。
- 農場に家畜を放牧させることで糞尿により肥沃(ひよく)な土壌へと改善させる。
オーガニックはもとより、リジェネラティブな方法で栽培することで、より環境に良い効果をもたらすわけです。
リジェネラティブ/リジェネレーションを取り入れた商品は、まだ市場には多くは見られないと思いますが、今後は徐々に出てくると思います。これらを積極的に選択することで、より環境に貢献できるようになるでしょう。